28:微妙に暗い話


拾った猫、どうしたんだ?
そう尋ねると、人にやったと言う。
「懐いてたのに」
そう言うおれに少しだけ笑ってみせた。



「世話が大変だったんだ」
笑ってみせたけれど
きっとうまく笑えていないだろう。

懐いてきたな、そう思った日から
毎夜毎夜うなされて目が覚めた。

「いつか失うくらいなら先に自分の手で」

取り返しがつかなくなる、その前に
だから、名前もつけないまま手放すことにした。



2005.11.23〜12.23

 大事なものを作るのが怖いというのは逃げだという。なるほど、失うことを恐れていては、なにも得ることはできないというのはその通りだろう。

 だが、その恐怖に打ち克つために、無意識のうちに対象を破壊しようとしている自分をみつけてしまったら?

 「いつか情が移ったネコを失ってしまう恐怖」ではなく、それを避けようとして、「情が移る前にネコを殺そうとしてしまう自分」、そういう恐怖。


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