いそかぜ おはなみ プロジェクト 
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    cherry blossom viewing.

      
ISOKAZE

 次にこの事態に収拾をつけてくれそうなのは…。

 掌帆長――若狭曹長ならどうだ?

 思いついて、これならいいかもしれない、と行は頷いた。
 若狭なら、菊政を諌め、仙石にとりなしてくれそうではないか。
 早速、若狭に救難信号を送るべく、その位置を確認しようとした行だったが、その位置が判明すると同時に、彼は自分の考えの甘さを悟った。

 若狭のいる位置、これはあっという間にわかった。

 なぜなら、現在、カラオケのマイクを握っているのが、いそかぜの鬼軍曹・掌帆長若狭、その人だったからだ。

 いつもクールでダンディな若狭が、「すっかり自分に酔ってます」という感じで歌いこんでいる。それを見た「カラオケに翻弄されている如月行」に、「へたに救難信号なんぞ送ろうものならかえって敵を増やすことになりかねない」という冷静かつ至って当たり前の判断が、「729・如月行」から迅速に、確実に、下された。

 潜在的な脅威に対して、自分の主観から楽観的判断を下すことは愚かである。

 叩き込まれた教育に、行は、「でも一応…」などとは思いもしなかった。

 …だれか他にいないのか…?

 少しの間、諦めきれずに周囲を見回していた行だったが、誰もかれもいいように出来上がってしまっていて、どうにもアテになりそうな人間は皆無である。

 もはや、やるせなささえ感じながら、行は頭上で咲き誇る、満開の桜を恨めしそうに見上げた。

(おまえらが咲いたりするから、おれがこのように困惑せねばならないんだ)

 見当違いの逆恨みとわかってはいたが、それでもそう思わずにいられない。これが人の弱さか…と行はまた小さく溜息をついた。それから、もう一度、諦めきれずに若狭の方を振り返ると、彼は実に気持ちよさそうに、陶然とした表情でマイクを握っていた。聞こえてくる歌声にはカラオケマシンにバリバリにエコーをかけられていたが、「工作員イヤー」で聞き取った機械を通してない生の歌声は、ビブラートまでかけられた本格的「歌いこんでます」声だ。

 勘弁してください…。

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