いそかぜ おはなみ プロジェクト 
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    cherry blossom viewing.

      
ISOKAZE

「――それじゃわっかんないですよぉ、…あ、先輩、なんか決まりました?」

 仙石相手に「ヒント! ヒント!!」を連呼していた菊政は、行が曲を決めて、ついでに覚悟も決めて小さく頷いたのを見ていたようで、体ごと行の方を振り返った。仙石もつられてこちらを覗き込んでくる。あまりにも期待に満ちた目に圧倒されるものを感じながらも、今更後には引けない。行はそれとは知れないように小さく息を吸い込むと、
「…ああ」
 無理矢理搾り出した。なんだか声がひっくり返ったような気もするが、きっと気のせいに違いない。
 一方、菊政はぱっと顔をほころばすと、

「わあ、なんですか、なんですか、なに歌うんですか??」

 息継ぐ暇もないような勢いでそう言って、胡坐をかいたまま腕だけでピョコピョコ行に近づくと、酒で上気した顔をぐいっと近づけてきた。仮に菊政が犬だったら、ちぎれんばかりに尻尾を振っているところだろう。それを横で見ていた仙石は、ふと悪戯めいた笑顔を浮かべると、

「そりゃあ、聴いてみてのお楽しみって奴だろ、な?」

 やはりズリズリと行ににじり寄って、にまーっと笑って見せた。

「あ、あ、なるほど!! そうッスよね! うん、それ、いい」
 ぽん、と菊政は一つ手を打つと、まるで壊れた人形か何かのようにコウコクコクコクと何度も何度も頷いている。だろー? と自慢気に胸をそらせている仙石を目の端に捕らえながら、
(全然楽しみじゃない…)
 行は思ったが、それはいくら言ったところで今更どうなるものでもない。
「じゃあ、おれリモコン取ってきますよ」
 言って妙に嬉しそうに立ち上がった菊政の背中をぼんやり見ながら、おれの人生はこんなことばかりだ、と行はまた暗澹たる思いで溜息をついたのであった。

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