いそかぜ おはなみ プロジェクト 
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    cherry blossom viewing.

      
ISOKAZE

「じゃあ、カラオケの順番が回ってくるまでもうちょっとありますから、なんか食べ物でも取ってきましょうか?」

 そんな行のご機嫌斜めっぷりを知ってか知らずか、菊政は行と仙石の顔を交互に見ながらそんなことを言い出した。
「あー、そうだな、そういえば怒鳴りすぎて腹減ってきたよ。如月もなんか喰うか?」
 こちらの顔を覗き込んで仙石はそう言ったが、行はフルフルと首を横に振った。

これからカラオケという恐ろしげなイベントが待ち受けていると知っているのに、呑気に飯など食っていられない。そもそもミッション前にすべきことというのは…と考え始めたところで、

 ミッション…カラオケが、ミッション?

 自問して、行は激しく落ち込んだ。

「じゃあ先任の分、なんか持ってきますよ」
 相変わらずちょこまかとよく動く菊政は、そう言い残して小動物のように身軽に立ち上がり、これまた小動物の俊敏さで「漢波」の中を走り抜けていった。

*************


 なんとなく二人きり、取り残されたような気持ちになる。これといって話すこともなく、なんとはなしに気まずい雰囲気が流れる。
 隣で胡坐をかいている仙石が居心地悪そうに身じろぎする。どうも静寂というものが苦手な様子で、何か言いたげに何度か口を開いては閉じ、開いては閉じを繰り返している。やがて、ふと諦めたように頭上を仰ぐと、
「綺麗なもんだな」
 独りごちるように呟いた。
「…桜、ですか?」
 自分に語りかけられた口調ではなかったのに、なぜかつられるように振り仰いで訊き返してしまった。

 ヒラヒラと花びらが散り落ちてくる。生きているもののはずなのに、まるで機械仕掛けのように無機的で、なんの感情も湧き上がってはこなかった。

 だが、仙石は自分には見えない何かを見ているような、そんな暖かな、そしてどこか少し寂しげな目を桜に向け続けている。
「ああ。――この歳になるとさ、それでやっと分かるようになるものってのもあってな、こういう景色ってのもそういうもんだよ」

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