いそかぜ おはなみ プロジェクト 
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    cherry blossom viewing.

      
ISOKAZE

 仙石とふたり、並んでぽんやり桜を眺めていると、先ほど一時「漢波・戦線復帰」した菊政が両手になにやら持って帰ってきた。座り込んでいる仙石の前に中腰になると手にしていたものを手渡す。
「はい、先任伍長、のど痛めてるみたいでしたから、これ。…先輩も、カラオケってのど使うから良かったら食べてくださいね」
 言いながら行の目の高さに同じものを差し出して、相変わらずの気の抜ける笑顔で首を傾げるようにしてみせる。犬の仔のような菊政の仕草に、なんだか拒否するのも気が引けて、行は思わず手を差し出してしまっていた。はいどうぞ、と手渡されて、だが、その物を覗き込んだ行はぴたりと動きを止めた。

 これは一体なんだろう?

 小さな紙コップに何やらクリーム色の塊が入っている。なんだろう? アイスクリームか? それとも豆腐…? そのアイスクリーム様の物体は茶色の液に浸っていている。そしてその透明な液には何かの油らしきものが浮いていて、ますます異世界感に拍車をかけている。揚げ出し豆腐を豆腐を揚げずに作ったらこんな感じになるのでは? というような謎な見た目の紙コップを前にして、行は同じ状況下にある仙石の方に目をやった。すると、同じ事情だったらしい仙石もちょうどこちらを見たところで、お互い目の奥を探りあうことになった。ちなみに共通議題は「これはなんだ?」である。

 しかし、お互いの目の奥に、互いに望む答えはないことを確認した二人が次に取った行動は当然、

「…菊政、これなんだ?」

 仙石がコップをずいっと出しながら尋ねると、当の菊政はまたもやクリンと首を傾げてみせた。
「何と言われても、見たまんまですよ?」
「…見てもわからないから尋ねているんだ」
 行もそう言って指でコップを一度弾いてみせる。
「わからないですか〜? ありり?」
 むしろわからない事の方が不思議だと言わんばかりの態度の菊政に、仙石は苛立ったように、
「かー! だからこりゃなんなんだ!?」
 と声を荒げた。その調子に気圧されて菊政はびくりと肩を震わせると、恐る恐るといった様子で行のカップの中を指差した。そして、つられて覗き込んだ二人に、
「あのですね、人間ののどと言うのは常に油とかで守られているものなんだそうです。だからその油分を補給するために」
 そこで菊政は一旦言葉を切ると、カップの上の方、浮いている油らしきものを指して、「これがゴマ油」

 ゴマアブラ…?

 口中でだけ呟くと行と仙石はまたもや顔を見合わせた。なぜゴマ油…?

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