| いそかぜ おはなみ プロジェクト |
1 cherry blossom viewing. ISOKAZE |
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| そもそも花見に行くなんて、いったい誰が言い出したんだ、と仙石は周囲を見まわすと、ため息と共に記憶をたどり始めた。 最初は…そうだ、若狭だ。掌帆長の若狭が昼飯の時に、何を思ったのか突然、「そろそろ桜の季節だな」などと呟いたのが発端だった。またよりによって、たまたまその日CPO室に給仕に来ていたのが、あの菊政だったのがいけなかった。若狭のその呟きを耳ざとく聞きつけた菊政は、「じゃあ花見ですね〜」などと喜色満面ここに極まれりといった様子で、あの気の抜ける笑顔をCPO中に振り撒いたのである。あのどーにも気の抜ける顔に、毒気を抜かれた強面先任海曹集団は、「花見=酒」という単純明快な連想ゲームに背中を押される形で、「じゃあ行こう。花見に行こう」といつもながらの恐るべき計画立案の早さで「いそかぜお花見計画」なる企画書を作り、即日掲示板に貼り出したのである。 むさくるしい男所帯が、そういったくだらない遊びに乗らないわけがない。「うまくいったら、となりの区画の綺麗なお姉さんたちとムフフな関係になれるかも!」などと言い出すドリーマーまで現われ、企画書の下の「参加希望者」と書かれた空欄はあっという間にうまってしまった。 そんな訳で、仙石はただいま遠足の引率の教師よろしく、野郎どもを引き連れて花見の真っ最中なのである。 仙石も酒は嫌いではないし(むしろ好きだ)、桜もどちらかと言えば好きである。いつもは艦から見える海ばかり描いているが、この季節にはあの花の儚さを描けたらどんな気分だろうなどと、テレビニュースなんぞを見ながら思うこともあった。 だが、だが…、仙石はもう一度周りを見まわすと、ゆっくりと嘆息した。 こいつらには、桜の儚さに感じ入る日本人の精神性は全くない。 ちゅーか、飲んで騒いで歌って踊って脱いで走って叫んで転がってでは「花見」というセッティングをする必要性は皆無である。 |