| 約束 ――崩壊まで―― 13 |
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| 「そりゃあ、おれもそう思うよ。でもさ、約束は約束だもん。おれ、なんの取り柄もないじゃん。だからさ、せめて約束くらいは守りたいんだってば」 菊政が静かにそう言って微笑むと友人たちは無言になってしまった。いつもと変わらない穏やかな笑顔。けれど、その表情は何故かとても大人びていて、その声は、その言葉はとても頑なで、なんだか痛々しかったからだ。 また少し、涼しくなった風がさらさらと吹いて、白いカーテンが揺れていた。 いつの間にか、うつらうつらとでもしていたのか、ふと気がついたらそんなことを思い出していた。あ、もういい、それ以上は思い出したくないと菊政は思ったが、その後はもう、勝手に、ぼろぼろと記憶が溢れ出してきて、自分ではどうにも出来なかった。そうだ、この後はいつも…そう思ったが、結局「この後」、この記憶の奔流をとどめられたことなど一度もない。抵抗しても無駄なら諦めて、せめて受け流すしかないと菊政は毛布にくるまったまま、ぎゅっと眉を寄せた。 溢れ出してくる記憶は、決していい思い出ではないと知っていたからだ。 中学二年の終わりの頃だっただろうか、友人たち同士が喧嘩になったことがある。 何がきっかけだったのかは、もう覚えていない。多分、それは些細なことだった。些細なことだったはずなのに、それが勘違いや思い込み、すれ違いで大喧嘩に発展してしまったのだ。何人かでつるんでいたグループが二つに分かれて、顔を合わせればお互いがお互いを罵り合うという状況が何日も続いていた。そんなことになる以前には、普段は至ってからりとした、そしてどこか呑気な友人たちで、こんな状況は初めてだった菊政はその友人達の間に立って、まあまあ、向こうだって悪気があったわけじゃないんだから・・・と繰り返し仲裁にあたっていた。 |