| 約束 ――崩壊まで―― 23 |
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| おれたち下っ端の間で噂になってる、最近幹部の様子がおかしいってことが、なにか関係してる? 先任伍長もいつもと様子が違う。おれたちに隠し事をしているというよりは、何か引っかかっていることがあるような、何かに気付いてるみたいな…。それがもしも先輩に関することだったら…いや、多分、そうなんだろう。そういうのって目の動きでわかる。 先任が士官と話してるとこに居合わせることなんか滅多にないから、気になってるのはそっちのことかもしれないけれど、でも、先任伍長が先輩を見る時の目はおれたちに対する目と違う。はっきりしていない疑念というか、不審というか…無意識になにか探る目だ。だとしたら、先輩が何かの理由で機関や揚艇機に細工をしたんなら、何か隠しているのなら、このまんまだとヤバイ。今はまだはっきりしてない先任の疑念が、完全に疑惑に変わったら、もう取り返しがつかない。 だったら先に先任に含めておいた方がいいんじゃないかと思って先輩の事を相談したのが一昨日。 一昨日といえば、司令室で「生存者の女」を見たのも一昨日だった。女と一緒にFTGの溝口3佐も部屋にいた。FTGも「女」も「いつもと違う何か」――「ありえない事故の原因」なんだろうか。 一体、この「いそかぜ」でなにが起きてるんだろう? 缶コーヒーを握っていた右手が、冷えて痛くなってきた。ベッドの柵を掴んでいた左手に持ち替えて、また一口啜る。――そんなに経った気はしないのに、さっきより温くなっていた。 冷えた右手を額に当てて頭を冷やしてみる。 先輩は何か隠している。その何かのために、多分、自分を縛り付けて、他人に興味なんかないって風を装ってる。おれがいつも笑っているのとは反対に、先輩は無表情で自分を守っている。 それともこれは、おれの勝手な想像でしかない? 自問して、また溜息。そう言えば、「溜息と一緒に幸せが逃げていくんだよ」って、ばあちゃんが言っていたっけ。ここ何日かで一杯、「幸せ」逃げていっちゃったよ、ばあちゃん。 |