| 約束 ――崩壊まで―― 31 |
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| 先任に任せておけば、きっと大丈夫。 そう思い、自分に言い聞かせる一方で、「おれたちは『防衛秘密』とかいう正体不明のお化けに、振り回されているのか」と思うと、船酔いとはまた別の理由でなんだか胸がムカムカしてきた。そして、先任にもうこの件に関わるなと言われた事が、まるで先輩に関わるなと言われたようで、訳もなく哀しくなった。 いろんな気持ちがグシャグシャと、頭の中で渦を巻いて、なにがなんだか自分でもよく分からない。でもとりあえずは、「はい」と返事をすると、先任はそんなおれを怒られてしょげたとでも思ったのか、 「気持ちはわかるがな」 慰めるように励ますように、持っていた書類を丸めてポンと一つおれのテッパチを軽く叩いた。「それでクビなんてことになったら、故郷のおばあさんだって悲しむぞ。一戸建て買ってやるって、約束したんだろう?」 そうだった。ばあちゃんとの約束、守らなきゃいけないんだった。 思い出し、ぎゅっと唇を噛んだおれの背中を、先任は軽く押して、 「さ、もう行け」 と諭すように言った。先任の手はゴツくてイカツい男の手だったけれど、その温かさは、分厚い救命胴衣越しでもなんだか伝わってくるような気がした。 |