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約束 ――崩壊まで―― 6 |
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| 狭い艦内にむさ苦しい男が詰めこまれている護衛艦では、些細な事が原因での小さないさかいなら日常茶飯事だった。とは言っても、同じ釜の飯を食っている家族同然の仲間同士、そこには馴れ合いと言うものも確かに存在していて、大概大きな揉め事にまでは発展しない。 その日の揉め事も、そういう類の「よくある事」だったのだ。 少なくとも、菊政以外には。 田所がその騒ぎに気が付いたのは、夕食が終わった後の自由時間中だった。怒気を含んだ唸りが聞こえて、田所は憂鬱そうに一つため息をついてから狭いベッドから体を起こした。護衛艦のベッドというのは各段が60センチ程度しかないのだが、人並み以上に縦にも横にも大きな体でも、人間、暮らしていれば慣れるものだ。田所はその溜息を合図にでもしたかのように、勢いよくベッドから飛び出すと、どかどかとこれまた人並み以上に大きな足音を立てて騒ぎが起きている現場まで赴いた。そして、その騒ぎの現場に駆けつけると、 「なんだ、お前ら!」 とまたもや人並み以上にデカイ声で一喝した。 その声に、輪になっている殺気だった表情の海士が何人か振り返ったが、田所の顔を見ると途端に萎縮した表情になった。防衛記念章を授与されてからの田所は、単に面倒見のいい先輩海士というものから立派な先任兵長に大化けしていて、海士たちにとっては絶対の存在になりつつあった。 「なんだ、何が原因だ?」 口調までまるで先任伍長のそれのようになってきて、口の悪い海曹からは後姿だけならず、立ち振る舞いまで似てきたとからかわれている。影で「プチ伍長」と呼ばれる兵長・田所の本領発揮である。 「は! テレビを見るか、ゲームをするか、どちらでテレビを使うかという喧嘩です!」 ぴんと背筋をのばした一等海士が答えると、 「ゲーム? 菊政か?」 田所はきょろきょろと辺りを見渡した。 |