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ルール 14 . | . |
| 何の予定も計画も立てずに唐突に発ったにも関わらず、大した苦労もせずに宿が取れたのは幸運と言えた。 駅を出てすぐのビジネスホテルは、その便の良さから「それなり」以上の値段設定だったが、仙石は「おれが誘ったんだからおれが払う」と珍しく強情を張った行に支払いを任せることにした。一応、おれのが年上なんだが、と控えめに言ってはみたが、「おれには他に金の使い道がないからいいんだ」と財布を取り出されてはそれ以上なにも言えない。 値段相応に快適なホテルをチェックアウト時間より早めに出ようとフロントロビーに出ると、他の客が出て行くのに合わせて自動ドアが開いた。瞬間、目が眩むような熱気が押し寄せてきて、仙石はうんざりと宙を仰いだ。おいおい、勘弁してくれ…。 だが、本当の地獄はその後に待っていたらしい。 「暑い…」 今日何度目かの同じ台詞。言いながら、襟元をバタバタと動かして服の中に風を入れようとしてみたが、手を止めた瞬間、汗を吸いきったTシャツが肌にべったりと貼り付いて、仙石は更にうんざりすることとなった。昨夜飲んだ酒が効いたのか、朝からやたら咽喉が渇き、がぶ飲みした水がこの暑さで汗になって一気に噴き出しているようだ。 行と酒を飲むと翌日は大抵こうなる。飲んでも酔わない行を前にすると、どうも自分のペースを見失ってついつい飲みすぎてしまうのだ。さらにどう考えても食べ過ぎの朝食が胃の中で滞留して、元々重い体をなお一層重くしている。一方、前方をゆく行の後姿はいつもどうりの隙のなさで、肩から下げた荷物も苦にならない様子でしごく淡々と歩いている。 まだそんなに高い位置にはない太陽が、それでも強烈な日差しを投げ出し、それを受けた行のTシャツの背中が眩しい。炙られたアスファルトは悲鳴を上げる代わりに早くも陽炎を揺らめかせ、街中に特有な排気ガス臭の不愉快さを具現化してみせているかのようだった。 |
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