. ルール 16 . .

 寂れた田舎町。

 広島駅からローカル線に乗り、さらに路線バスを乗り継いでやって来た町に仙石が抱いた印象はそんなものだった。

 自分が生まれ育った東京の下町も、都内にしては「田舎」の風情を残していたが、そこにはどこか剥き出しのままの生命力が感じられた。

 しかし、この町は違う。忘れられて久しい、まるで遺棄されたような印象。

 狭い面積にひしめき合い上へ上へと伸びるしかなくなった都会の建築物を見慣れた目には、屋根の低い民家が軒を連ね、錆びたトタンが目につくこの光景は、「過疎」の字を思い出させるものだった。よくよく周りを見てみれば、敷地だけは広い住宅の端に放棄されているかのように置かれている古い年式の乗用車も、バンパーの隅に錆が浮いている。

 丁度真上に達した太陽はあいかわらず凶暴なまでの光を放ちつづけていたが、家々が密集していないため吹き抜けていく風は心地よい。それに、寂れた印象こそ否めないが、垣根が張り巡らされた家に挟まれた道の空気は、緑があるせいか都市より凌ぎやすい。

 ふと、ここに来たことがある気がするんだが…と仙石は思い、その印象を探ったがそれを思い出すことはできなかった。

 …ここではないのかもしれない。ここに似た場所に行ったことがあるだけで。

 そう、ここは館山、いや、白浜に、行の生まれ故郷である白浜に似ている。時折気まぐれのように背中側――海から吹き上げてくる風の汐くさいにおいも、やけに多い坂道も、舗装されてはいるもののその後補修されることもなく放置されているのであろう凹凸の多いアスファルトの道も、時折聞こえてくる虫取り網を握り駆け抜けていく子供たちの嬌声も。

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