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ルール 19 . | . |
| なだらかな上り坂をのぼり、手入れしようにも過疎化が進むこの町では人手が足りないのであろう、両側から覆い被さるように生えているススキや雑草の間を抜けていく。足元は舗装道路から砂利に変わり、それをしばらく行くと今度は細かな石を敷き詰めた石畳に変わった。黒い石は真夏の日光の中でもまるで濡れたように見え、その石と石の間にはやわらかな、深蒸し色の苔が覗いている。 空を仰げば夏にしては高く見える澄んだ青空と、真っ白な入道雲。そして、その雲よりももっと強烈に、真っ白に輝く太陽。 周りを取り囲み、背後から湧き上がり、進めど進めど追いかけてくる草いきれの中を往く行の寡黙な背中には、徐々に緊張の色が見え始めていた。張り詰めたその姿は、硬質な分だけ脆く見え、両側から伸びる緑の腕(かいな)に絡め取られてしまうのではないかと錯覚しそうになる。 なにか声を掛けたほうがいいのだろうかと仙石は思ったが、行の歩みはまるで何者の介入も阻むように頑なでひたむきで、その背を追う歩みを速め、肩を叩こうと伸ばしかけた仙石の手は、そのまま額の汗を拭っただけで下ろされた。 坂を上りきると、そこは小高い丘になる。周囲を取り囲むように密集していた雑草たちもきれいに刈られ、急に開けた視界の中に墓地が広がっている。多分、先祖を大事にする田舎のしきたりなのだろう、とにかくせめて墓への主道だけは「きちんと」と保っておきたいと誰かが世話をしているからだろう。 そう広くはない丘だった。一見してそれなり以上の年月を経ていると分かる丁寧に敷かれた石畳と、それなり以上の年月に対抗できなかった部分を補修した際に流されたのであろうざらついたコンクリートが混在する墓地が丘全体を占領している。 ふと自分の足元を見ると、ここでは碁石大しかない石畳の石が、何メートルか先で唐突に大きなものに変わっていた。多分、そこから先が「墓地」なのだろうと、仙石は半年以上前に訪れた時と同じ感想を抱いていた。よくよく見ればその傍らには申し訳程度の石柱があり、長い間風雪に晒されたのであろう風化されたその表面には、この町の名前と「墓苑」の字がどうにか読み取れる。 その「境目」まで来ると、行はそこで初めてこちらを振り返った。 |
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