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ルール 24 . | . |
| 一見して古いものだと分かる。長く風雪にさらされた石は、どことなく角が丸くなっているように見えた。あの祖母がしているのだろうか、足元の石畳にも、墓石の間にも雑草の類は見当たらず、供えられた花が、酷暑にうなだれていることを除けばきちんと世話のいきとどいた墓だった。 行はその墓の横にするりと回りこむと、そこに刻まれている字を目でたどり始めた。聞いたことしかないような江戸時代辺りだろうと思われる年号から、明治、大正、昭和とさかのぼり、末端には「平成」の年号が刻まれている。古い年号の掘られた溝には、どんなに大事にされていてもついてしまったのであろう苔がこびりついていたが、一番新しい年号――平成のそれは削り出されたばかりで、全体に風化されつつある墓の表面とは違うどこか無機的な色を覗かせていた。 「ここだ、な」 そう言った行の声は確認すると言うよりは、身構えるような声だった。自分の中の何かと対峙することを覚悟したその緊張感が、それ以上は何も言わない背中から滲んでくる。 ただ、我知らずだろう、歯を噛み締めたその頬はこわばっているようだった。 ほんの数十センチしか離れていないと言うのに、自分と行の間に深い断絶があるように感じられて、なんと声をかければいいのか思いつかず、仙石はその場にただ部外者のように立ち尽くすしかない。そして、そんな仙石など存在しないかのように行はその前を、仙石と墓の間を横切り、正面に回ると肩に掛けていた袋を下ろした。 「…約束を、果たしに来たんだ」 ぽつり、「菊政」に向かって話し掛けたというのではない、独白のような声だった。呟いた行は、袋から荷物を取り出す。 キャンバス…? そんなに大きなものではなかった。小脇に抱えられる程度の大きさしかない。 荷物の中身はおおよそ予想はしていたが、実際にそれを目にした仙石はただ、ああ、と納得した。 一見してでも丁寧に描かれていることがわかる。 それは、菊政の肖像だった。 |
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