. ルール 28 . .

「約束ってのはな、契約とは違う。守らなかったからといってなんか持ってかれたりするもんじゃない。でもな、逆にもっと大事なもん――信用とか信頼とか、そういうもんを失う」
「…わかってる、それがルールだか…」
 ら、と続いたであろう行の言葉を、仙石は腕を振って皆まで言わせず遮った。
「それがわかってねえって言うんだ。いいか、約束ってのはルールじゃねえんだ。約束ってのはな、その信用やら信頼やらを失うのが嫌だったり、寂しかったりするから守ろうと思う」

 深く考えて話しているわけではなかった。ただ、違う、違う、と胸の中で渦巻く否定の声に押されていた。

 約束ってものは、ルールなんていう「人からお仕着せに与えられるようなもの」みたいな簡単なものじゃない。そんな損得づくのもんじゃない。格好悪いかもしれないが、もっと粘着質で人間くさく泥くさい、そしてどうしようもなく優しいものだ。

 少なくとも、行が菊政とかわした約束というのは、双方にとってそういうものであったはずだ。それをそんな風に「歪めて」しまうことを、きっと菊政だって望まないだろうと仙石は思う。

 だがそんな仙石の衝動に任せた言葉に行は、「同じじゃないか」と言って下唇を噛んでいた。

「違う」
 仙石は殆ど咄嗟に、そう言い切った。

 正体のない自信があった。
 論理的ではないのかもしれない。でも、自分の言っていることは間違ってない、そういう正体不明の自信があった。

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