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ルール 4 . | . |
| 仙石は一応、「センゴクストア」の役員待遇だから、きっちり決まった時期に休みを取らなければならないわけではない。依頼された仕事が一段落したので、自主的に夏休みをとり館山にやって来たのだ。特に連絡もしないでやってきたが、これまで行が長く家を空けたことはなかったし、「契約のときに二つ貰ったが、おれがなくすわけがない。他に知り合いもいないから、あんたにやる」と渡された合鍵もある。いなければいないで勝手に待たせてもらうつもりだったのだ。 だから、どうしても行がいく所についていかなければならないというわけではないのだが、行がいないなら別に館山にいる必要もない。とはいえ、仕事にキリをつけてきてしまったので東京に戻っても今は特にすることもない。ついでに、居場所もない。 そんな仙石の胸中を知ってか知らずか、行は今度は少し困ったような顔になった。 「…別にまずくはない。でも、あんたは行きたくない場所かもしれない」 なんのこっちゃ。なぞなぞか? 「そんなもん、聞かなきゃわからねえ。――で、そこ、近いのか?」 「…遠いよ。だから、今日はあんたに留守番してもらうか、帰ってもらおうと思ってたんだ」 微かに眉間に皺を寄せる。表情に乏しい行にしてはまあまあの出来の渋面だ。あれ? こりゃ、女でもできたかな? と仙石は思ったが、それはそれで好奇心をかきたてられる話である。 「人の予定を勝手に決めるなっつーの。――どれくらいかかるんだ?」 しばらくの間、行は箸を半分そば猪口に突っ込んだまま無言だった。仙石の方は仙石の方で、箸まで置いての持久戦だ。 だんまり合戦は1分近く続いたが、なんだか諦めたような、そして、ひどく呆れたような表情で、わざとらしくつかれた溜息とともに先にギブアップしたのは行の方だった。 「わかったわかった、吐くよ。…広島だ。ついてくる気があるなら、支度してくれ」 それだけ言って顔を伏せ、つゆに浸されたまま放置され、すっかり黒く染まってしまったそうめんを、ひどく時間をかけて啜り込んだ。 |
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