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ルール 9 . | . |
| そう言えば新幹線なんて、一体いつ以来乗っていないのだろう。 在来線のそれよりも、一回り以上大きな新幹線の乗車券をしげしげと見つめながら、仙石はそんなことを思っていた。東京から館山までの特急はよく利用しているが、新幹線など乗ったのは、多分数年前に部下の海曹が何を思ったのか市ヶ谷で結婚披露宴を行い、それに出席するために乗ったのが最後だった筈だ。 …いや、こっちに引っ越してくるときも、乗ったっけな、そう言えば、と思い出したくもないことまで思い起こされて、仙石は一人小さく溜息をついた。 「…なんだ?」 三人掛けの席の通路側からこちらを覗きこむようにしていた行は、耳ざとくその溜息を聞きつけていたらしい。荷物を置いた空席一つを挟んで隣、行が座る通路側席に目をやるとその表情はどこか不安げに曇っているようだった。「そんなに、いきなり付き合わせたのが気に入らないか?」 手にしていた雑誌をなんの躊躇もなくパタリと閉じながら、行はそんな事を言う。 「いや、なんちゅーか、ほれ、新幹線ってのは涼しくていいな。おまえの家、クーラーねえんだもんな。あは、あははは」 取り繕うとした嘘寒い笑いは、しかし、行の冷たい視線を前に、あっという間に霧散した。 「…新幹線なんて久しぶりでな。緊張してるんだろうよ、きっと」 涼しいと言った舌の根も渇かぬうちに暑くもないのに汗をかきつつ、仙石はそう言った。ひどく居心地が悪い。 「…おれも、ひさしぶりだな。前の仕事の時には、時々乗ったけど」 そう言って、行はそれ以上仙石を問い質すようなことはしなかった。ただ、目を細めるようにして、仙石の肩越しに窓の外を見ている。 さっきからこちらを覗きこまれているように感じられたのは、別に自分を見ていたわけではなく、どうやら窓の外を眺めていたらしい。 仙石もつられて左を向き車窓から外を覗うと、そこには真っ青な海が広がっていた。 |
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